No.58

2023-02-10
伝統×革新。繊細な竹細工と本革のサコッシュ

有限会社 みやび行燈製作所

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古来良質な竹が産出されていた静岡は、竹細工の製造が盛んだった。江戸時代には「駿河細工」と呼ばれ武士や旅人の間で流行し、全国に知られるように。天保11年(1840)には、駿河竹細工の中でも最も特徴的だと言われる、丸ひごを使った「駿河竹千筋細工」が誕生した。現在では、伝統工芸として、国内外で高い評価を受けている。静岡市内にある工房の一つ「みやび行燈製作所」は、大正時代から続く老舗工房。藤枝市の孟宗竹を使い、職人が竹の加工から、細かな編み込み、組込みまでを一人で行い、繊細で芸術性の高い作品を作りあげる。ハリウッド映画の小道具や、高級ホテルの照明器具やアフタヌーンティーの器など、多くの作品を世に送り出している。この春に発表した新作は、普段使いできるカジュアルなアイテム。繊細な竹細工と柔らかな革とのコラボレーションが斬新なサコッシュ「風」。現代人にとって大切なスマホやミニ財布が入るだけの小さなサコッシュは、駿河竹千筋細工ならではのしなやかなシルエットで、いつもの装いに凛とした美しさをプラスしてくれる。フェミニンな服装でも、Tシャツやデニムといった軽やかな装いにも自然となじむ。サイズは幅15㎝×縦19㎝、ショルダーは長さ調節が可能。オンラインショップや工房で販売している。

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2023-02-10
本から学び、感じる地元「静岡」の魅力

マイクロマガジン社

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静岡県を舞台にした、優しくて不思議な物語

『おまわりさんと招き猫 おもちとおこげと丸い月』小説:植原翠/装画:ショウイチ

海辺の町、“かつぶし町”の小さな交番に住み着く、しゃべる猫のおもちさんと、新人おまわりさんの小槇くんが織りなす物語。おやつをたらふく食べて、「散歩はしない」と言ったそばから、おまわりさんのパトロールに付いていく気まぐれなおもちさんと、素直で明るく、お人よしの小槇くんが、街の日常を優しく見守る。猫と会話するという不思議な設定でも、登場人物たちの「そういうもの」と受け入れ、適度な距離を保つ関係に、違和感なく読み進められるという。気づけば、町の住人気分で物語に没頭できるはず。作品の舞台であるかつぶし町のモデルは静岡県。駿河湾沿岸をイメージしている。著者の植原翠氏は静岡県出身・在住。静岡県にゆかりある作家ならではの視点で描かれる、リアリティとファンタジーの融合した世界観も魅力だ。2022年12月に発売したシリーズ第2弾「おまわりさんと招き猫 おもちとおこげと丸い月」では、新たなキャラクター、おもちさんにそっくりなしゃべる猫が登場。ますます謎が深まるおもちさんから目が離せない。

 

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静岡県のリアルを徹底調査!

『地域批評シリーズ46 これでいいのか静岡県』編者: 鈴木ユータ/ 岡島慎二

「静岡県って本当はどんなとこ?」様々な角度から地域(都道府県や政令指定都市)を分析し、地元民も気づかなかった地域の本質を明らかにしていく地域批評シリーズが静岡県を徹底調査した一冊。東西日本の境界に位置し、駿河・遠江・伊豆の旧3国から成り立っているため、県としての統一感がまるでない静岡県。本書では歴史や文化の解説に始まり、エリアや街ごとに異なる多様な県民気質を現地取材から露わにしている。さらに静岡市VS浜松市を筆頭に都市間のライバル関係、熱く燃え上がっているリニア問題などなど、県内で起きている多くの社会問題やドタバタ劇をわかりやすく解説・検証していく。一見バラバラな静岡県の本当のストロングポイントや魅力とは何か?全国各地の真実を長年探究し、通巻160号・発行累計100万部の超ロングランシリーズを作り上げた、地域批評編集部が総力を挙げ、巷のレッテルに捉われない静岡県の真髄に迫る、静岡県分析の決定版!

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2023-02-10
ペットとの幸せな暮らしを叶える

いざという時に慌てない。暮らしの中でできる災害対策-犬編-

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災害は突然やってきて、愛犬との暮らしを一変させるもの。制限の多い生活を強いられても、人も愛犬も健康的に過ごすことができるように、日ごろから備えておこう。避難所での生活は、公衆衛生上の配慮から、人と動物のスペースを分ける「棲み分け」が行われる。犬用に確保された場所で、1日のほとんどの時間をケージなど狭い空間で過ごすことになる。状況次第では、ボランティアに世話をしてもらうこともあり得る。このような環境で生活するためには、必要なしつけがある。

 

1. ケージに慣れておく

ケージの最適なサイズは、愛犬が入って方向転換ができる、立ち上がることができるもの。大き過ぎず、外が見え過ぎないものが安心できるという。バスタオルなどで覆い、視界を遮っても構わない。ケージに入るトレーニングを行う場合は、愛犬がいる場所に数日前からケージを置いておく。入る練習は、おやつを鼻先に出して、ケージの入口に誘導する。そのまま中へ誘導し、おやつを食べさせる。この時に、優しい声で褒めてあげる。何度か繰り返しケージに入ることに慣れたら、食べ終わるまで時間のかかるおやつなどを中で食べさせる。ケージの中では、嬉しい事があるという体験を重ねることがポイント。喜んで入るようになったら、そっと扉を閉めて数秒で開けるという動作を繰り返す。トレーニングは、焦らずに日数を掛け、続けていくことが大事。ケージは、安心できる場所だと愛犬に覚えてもらおう。
※続きは冊子にてお楽しみください。

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2023-02-10
百花騒鳴

57. 三保の潮騒

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表紙画像の撮影は、早朝の三保海岸で行った。我が家の犬たちは、まだ夜も明けやらぬうちに車に乗せられた。乗車した時は寝ぼけまなこだったのに、駐車場に着くと、初めて訪れた場所に大興奮。

「どこ?ここ、どこ?」

尻尾はちぎれそうなほど、大きく激しく振っている。松林の向こうから聞こえる潮騒に向かって歩きだした。力強くグイグイと進んでいく。しばらくすると、海が視界に入ってきた。「なんだ、あれ?何?何?何?」

彼らの好奇心を存分に刺激する。DNAが騒ぐのであろうか?彼らは、カナダのニューファンドランド島原産で、水難救助犬として活躍しているニューファンドランド犬の子犬だ。大きな水溜まりを見つめると、何かのスイッチが入ったかのように一目散に向かっていった。石や流木が転がる砂浜を、息を弾ませ小走り。しかし、打ち寄せる激しい波を前に急ブレーキ。見たことのない動きをする水に、動揺を隠せない。右から左から注意深く観察すると、オスのリョウは波に喧嘩を仕掛けることに決めた。

「かかってこい!お!逃げるのか?なんだ、やるのか?」腕をちょいちょいと揚げながら、かまってもらおうと必死になっている。このやり取りは、なかなか終わりそうもないと思えたのだが、あっさりと勝敗が決まった。稀にやってくる大きな波をザパーンと被り、海からお灸を据えられた。自然のパワーに圧倒されて、彼は肩を落とした。それを、メスのセンが紙のように細めた目で、少し高い所から見下ろしていた。

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。次回は、木蓮の花の咲く頃にお会いいたしましょう。

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