back number, No.11

2015-04-01
百花騒鳴

百花騒鳴

10、H

春といえば、桜に菜の花、蕗の薹。たくさんの植物が元気に育つ季節。清々しさを感じる人が多いことだろう。もちろん私もその一人だ。けれど花弁や多肉植物にフォーカスしてみると、また別の見方をしてしまう自分がいる。ある種のエロティシズムを感じるのだ。誤解のないように加えておくが、植物を見て性的興奮を覚えたりはしない。

まあ、純真とはいい難い見方で植物を見ているという事だ。

一件の取材先で、そんな不純な自分が顔を出した。うっかりカメラマンのRに、「この子(植物)エロく撮って」と注文してしまった。爽やか美男美女のオーナー夫妻が「はっ」と息を飲む気配に気づいた。ヤバい、こんなにも清純そうなご夫婦の前で、なんてコトを。すると、ご夫婦は、ニッコリ微笑んで言った。「そうなんですよ。下からのぞいて見てください。もっとエロチックですから」

驚く事に、ここに理解者がいたのだ。あろう事か、そんなあなたにとっておきの物をご覧に入れましょうと、奥さんが鉢を1つ抱えてきた。それは、とてもご立派なメンズのシンボル…に似たサボテン。名前を聞いてまたびっくり! 珍宝閣(チンポーカク)、まんまじゃねーか。そこへご主人が、「ゴールデンボールっていう種類もありますよ」と。

自分の見解は案外マイノリティーではないと知ったところで、スティックとボールの寄せ植えをリクエストして、早朝の取材終了。この春から、可愛がって育てようと思う。

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