back number, No.14

2015-09-01
蔵がもてなす美味しい時間

クラヤカトウ

用宗街道から細い路地へ入ると、その建物は現れる。漆喰壁の重厚な外観、深い軒、時間を刻んだものだけに許される本物の風格。元々は、鰹節貯蔵用の蔵として昭和5年に建てられたものだという。用途をなくし、放置されていたところを、リノベーションし、レストランとして一昨年に再生された。
蔵のもつ粛然とした雰囲気をいかし改装された室内では、オーナーシェフの嘉藤淳さんが腕を振るう。イタリアンをはじめ、フレンチ、和食を研鑚した経験から、ジャンルごとの伝統や技法を取り入れつつ、遊び心を加えた料理に仕上げる。
特にディナーは、嘉藤さん渾身の味が楽しめる。例えば夜限定の自家製手打ちパスタは、もっちりとして小気味のいい弾力。なかでも秋の一品「サンマのタリアテッレ」は、炒めた角切りサンマと大根がパスタに絡み、魚の旨みと根菜の甘みがふわりと広がる。シンプルゆえに、素材の味、テクニックが映える一皿だ。このほか、前菜2品、本日の魚料理か肉料理、デザートなどが付くコースが4860円。フルコースは6480円。しっとりと大人の夜を過ごすときのために、ぜひ覚えておきたい。

Posted in back number, No.14 | Comments Closed