back number, No.12
2015-05-01
豊かな感性で、 フレンチに新たな風を吹き込む
ニノサ
大きな通りから枝分かれする静かな道路に、赤い軒下テントが印象的な小さなレストランがある。6つの少し年季の入った木のテーブルは、ランチタイムになると早々に埋まってしまう。開業以来おおよそ9年、変わらない人気を保っている。
ゲストは、創意工夫をこらした肩ひじの張らないフレンチを味わいにやってくるのだ。食べ歩きが大好きというオーナーシェフの二ノ宮さん。様々な土地でインスピレーションを受け、その時に感じた気持ちや思い出を一皿に盛る。伝統的な料理も、二ノ宮さんのフィルターを通して表現され、親しみやすいのに新鮮に感じる。例えば「豚肩ロースのパン粉付ロースト」。オーブンでじっくりと焼き上げた豚肉は、柔らかくてジューシー。パプリカを加えたトマトソースが、爽やかさの中にエキゾチックな空気を含む。旨みと甘味を蓄えた豚肉と、まろやかに一体化する。暑くなるこれからの季節にぴったりの料理。
この他、ナンプラーやハラペーニョなど、フレンチではあまり使われない調味料やスパイスも積極的に用いる。決して奇抜なものではなく、大胆にして繊細な仕上がりで、食べ手の心に大きなインパクトを与える。「これからも、色々な角度から物事を見て感じ、味に投影して行きたい」と二ノ宮さんは、料理の進化に積極的だ。ゲストが足繁く通うのは、いつ訪ねても二ノ宮さんの味に、新しい発見をみるからだろう。


