back number, No.11
2015-04-01
愛らしい一皿に秘めた、一途な思い
日本料理 FUJI
外観から、ここが日本料理店であると想像できる人は少ないことだろう。ラスティーで重厚な扉を一枚、二枚と開き、店内へ入ると、無垢木のカウンターが目に入る。7人掛けのカウンター席には、一席ずつデザインの異なる有田焼の盆がセットされている。内装のデザイン、提供する料理内容を踏まえ、一枚ずつ職人が焼いた作品だ。この上等かつ個性的な雰囲気に、これから始まる食宴への期待が高まる。
ご主人の藤岡さんは、大阪芸大でインテリアデザインを学ぶも、料理の道へ進みたいとの思いから進路を変更。京都の「京料理いそべ」に入り、日本料理の基礎を学ぶ。その後東京の人気店「分とく山」に修業の場を移し、料理の様々な可能性を知ったという。約10年の練磨を重ね、昨年の暮れに自身の店をオープンさせた。
「和食のイメージを変えたかった」という藤岡さん。素材の持つ特徴をシンプルにとらえ、手を加えすぎないという、これまで培った技法を大切にしながら、若い感性で新しい日本料理の表現方法に挑戦している。可憐な盛り付けも、その一つ。一枚の絵画のような美しい盛り付けは、見るだけでも満足度があがるが、一つ一つに丁寧な仕事が施されており、口に運んだときに更なる感動を覚えるのだ。
「見て美しく、食べて美味しい」という日本料理の原点を守りつつ、新しさを感じさせる藤岡さんの見事な感性に、計り知れない可能性を見ずにはいられない。


