back number, No.22

2017-01-05
心が温まる、 一皿入魂の料理

mitsuru

美鶴

2016年11月にオープンしたばかりの日本料理「美鶴」。和モダンのすっきりとしたインテリアでまとめられた、開放的な店内は、調理場をぐるりと囲むようにカウンター席を設けている。ゆったりと座れる7席のみ。

店主の林邦佳さんは、一柳やたち吉などの割烹で日本料理、活魚料理を錬磨した人物。長きに修行を重ねた一柳と同じように、お客様としっかり向き合うスタイルの店を持ちたいという思いから、あえてオープンスペースの厨房にこだわった。常に、真剣勝負の中で繰り出す料理は、ベースに「和」を感じさせる味を大切にする。会話の中で、様子を伺いながら味を調整したり、構成を変えてみたりと、柔軟な発想の調理法で、食べ手を驚かせ、楽しませる。繊細な包丁裁きや、食材が料理へと変化していく様子を眺めているのも、また料理を味わうことの一つであると感じさせる。自分のための料理が出来上がっていく工程を見守ると、高揚感と食に対する感謝の気持ちがこみ上げてくる。

昼のコースは3000円(前日までに予約)。夜は6000円から用意(8000円以上のコースなら4名から貸し切りも可能)。寒い季節は、きれいなサシの入ったサーロインを、すき焼きでいただくのがおすすめ。とろみのある割下と卵黄を、脂の甘みが染み出す肉に絡めて食せば、まろやかな旨みが口の中に広がる。締めに登場する土鍋ごはんも美味。カツオと昆布ダシのほんのりと品の良い香りが、茶碗から上り立つ。心身ともに、温まる料理だ。

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