back number, No.40
2020-01-11
大人が落ちつく、小粋な饗
割烹 柊
からからと小気味のいい音を立てて、引き戸を開ける。木肌の香りが、ほのかに香る。ここが開業して間もないことを、設えの初々しさが告げている。歩を進めれば、漆が艶やかに光るカウンターが現れた。空間を照らす落ち着いた灯りが、なんとも心地いい。奥では、親方の廣瀬浩二さんが、見事な包丁裁きをのぞかせる。これまで東京にある日本料理の名店を巡り修行を重ねてきた。福井の有名老舗旅館「望洋楼」の支店、青山店では、長く調理長を務め、縁あって静岡で開業することに。2019年10月に「柊」をオープンさせた。廣瀬さんは、吟味した素材をシンプルに生かし、できたてを味わってもらうことを大事にしている。丁寧な仕事が施された品は、華美な装飾がなくても、気の利いた器の中に良く映える。寒い季節は、静岡ではなかなかお目に掛かれない、希少なセイコガニのコースが味わえる。福井から直送されるカニは、鮮度がよく身の詰まり具合、香り、コクが格別という。甲羅盛りの付いたコースが9350円で1月下旬ごろまで楽しめる。この他、昼席は3300円から、夜席は7700円から用意がある。夜は、先附、お造り、目の前で仕上げる煮物、凌ぎ、手打ち蕎麦、炊き合わせ、釜焚きのご飯、デザートなど、多彩な内容でボリュームもある。個室は、友人との賑やかな食事会はもちろん、慶事や接待など大切なシーンでの利用も多い。細やかな要望にも応えてもらえるので、気軽に相談を。