No.67
2024-07-19
刹那の自然現象を切り取ったクリアなアクセサリー
ZEROMISSION
アクリル樹脂の加工メーカー「ZEROMISSION」。手仕事による高い加工技術が評価され、全国のデザイナーや大手企業から依頼が飛び込んでくる。これまで、店舗販促やディスプレイ什器、建築部材など様々なアイテム製造の実績を持ち、オリジナルアイテムの製造も好評を呼んでいる。このほど、長い経験で培った加工のノウハウや職人の技術を集結したアクセサリーのブランド「PHENOMENAL」を今年6月に発表した。現象・事象を意味するphenomenonの形容詞phenomenalは、「自然現象の」「驚異的な」と訳される。その言葉をブランド名に据えたのは、「形容しがたい、圧倒的な自然。コントロールできない刹那の現象を、アクセサリーに留める」という思いから。今回発表されたのは5種のブレスレット。case01は透き通る氷を表現。case02は陽光の差す雲を、case03は緑深い山に立ち込める霧を、case04は日の入りのわずかな薄明の時を表している。いずれも、幾重の工程も手作業で行い、一点ずつ丁寧に仕上げているため同じ物は一つとしてない。Case05はミラーを製造する真空蒸着技術を用いる中で、偶然の産物として生じた貫入が、まるで夜空にきらめく星々のように仕上がった。アクリル樹脂という素材で、自然が見せる不可逆的な美を見事に表現している。現在は、公式オンラインストアで購入が可能。存在感のあるブレスレットが、夏の装いにアクセントをプラスしてくれるはずだ。
ZEROMISSION
静岡市駿河区下川原1-20-8
054-258-5482
2024-07-19
ファッションで涼をとる。身につける「伝統工芸」
有限会社 みやび行燈製作所
季節を問わず、空間を彩るインテリアとして活躍する竹細工。やはり、涼をとりたい夏には、一層出番が増えるもの。中でも伝統工芸として国内外で高い評価を受けている「駿河竹千筋細工」は、繊細な技巧が涼を感じさせる。静岡市内にある工房の一つ「みやび行燈製作所」は、大正時代から続く老舗工房。静岡県産の孟宗竹を使い、職人が竹の加工から、細かな編み込み、組込みまでを一人で行い、繊細で芸術性の高い作品を作りあげる。ハリウッド映画の小道具や、高級ホテルの照明器具やアフタヌーンティーの器など、多くの作品を世に送り出している。近年では、デザイナーとのコラボレーション作品の他、現代の暮らしに溶け込む新作を続々と発表している。繊細な竹細工と柔らかな革との組み合わせが斬新なサコッシュ「風」は、普段使いできるカジュアルなアイテム。スマホやミニ財布が入るだけの小さなサコッシュは、駿河竹千筋細工ならではのしなやかなシルエットで、いつもの装いに凛とした美しさをプラスしてくれる。また、お出掛けが楽しくなるトートバッグ「空」は、竹細工と天然布の組み合わせが可愛らしいと好評。底には網代編みと丸ひごを組み合わせた竹細工を。上部は、麻や綿などの天然素材を使用。丁度良い大きさのシンプルなシルエットの中に、職人の繊細な技術と伝統が詰まっている。色は、ペールベージュやパールグレーといったコーディネートしやすいものや、ファッションのアクセントになる緑、赤、黄色といった明るい発色のドット模様の5種を用意。身につける伝統工芸をファッションに取り入れてみては。
有限会社 みやび行燈製作所
静岡市葵区四番町11-8
054-252-2581
QRコードで
Instagram https://www.instagram.com/miyabiandon/
2024-07-19
服を選ぶように、自分らしい1台を選ぶ
オオムラ自転車折戸店&アルモカフェ
雨があがれば、青空がきれいな季節がやってくる。さあ、自転車に乗って、キラキラ輝く太陽と爽やかな風を感じてみない?車では見過ごしてしまういつもの風景も、自転車なら新鮮に感じられるはず。静岡市内屈指のサイクリングエリアといえば、三保半島。このエリアには、街乗り自転車から個性的なタイプの車種まで扱う「オオムラ自転車折戸店&アルモカフェ」がある。スタッフが全て女性というユニークな〝自転車屋さん″にカフェが併設されている。店内はカラフルで可愛らしい自転車パーツに溢れ、まるで雑貨屋のような雰囲気。女性ならではの優しい接客でクロスバイクやロードバイクもわかりやすく説明してくれる。店舗の裏手にあるサイクリングロードで、気になる自転車に試乗して乗り心地を体感することもできる。店舗のSNSでは、ファッションコーディネートのように購入者と車種を投稿していることから、記事を見た人が「この感じがステキ」「この自転車が欲しい」と県外市外など遠方からも訪ねてくるという。8月末までは、クリアランスセールを開催しているので、まずはSNSをチェックして。台数が限られているので、気になる投稿を見つけたら、早めに来店を。また、店内に併設されたアルモカフェではマシンで入れたエスプレッソやイタリアンメニューを楽しめる。サイクリング途中の休憩やメンテナンスの待ち時間はもちろんのこと、三保観光の際に気軽に立ち寄ってみて。
オオムラ自転車折戸店&アルモカフェ
静岡市清水区折戸2-2-7
054-334-9393
09:00〜19:00
定休 水曜
http://charitmo.jugem.jp/ (ブログ)
https://www.instagram.com/charizum/
2024-07-19
百花騒鳴
66.氷菓
梅雨明け前から猛暑が始まった。エアコンで室内をどんなに冷やしても、更年期の症状と贅沢に蓄えた皮下脂肪のせいもあって、火照りは治まる気配がない。そんな時には、氷菓が欲しい。甘くひんやりとしたかき氷が喉をツーっと下っていき、身体を冷やしてくれる。酷暑には欠かせない相棒だ。今よりも平均気温が低かった40年前の夏も、子どもたちにとってアイスは欠かせないおやつだった。当時、自宅から車で数分走ったところに、「すぐに溶けるソフトクリーム」と地元で評判の店があった。その店の前を通りかかると、「ソフトクリーム食べたい」と両親にせがむのだが、「いやだよ。ここのソフトは水っぽくて、ぽたぽた落ちちゃうでしょ」と言われ買ってもらうことができない。だが、祖父母とのドライブの時は違った。「ソフト、食べるか?」と祖父の方から提案してくれる。毎度、その提案をありがたく受け取る。上手に汚さずに食べようと思うのだが、そこは評判高いゆるゆるソフト。みるみるうちに溶け流れ、祖母のハンカチの助けを借りることとなる。ある時、「今日こそは策を講じてみよう」と考えた。お目当てのソフトクリームを買ってもらうと、急いで車の後部座席に乗りこむ。窓のハンドルをくるくると回すと、全開にした窓の外に、ソフトクリームを持つ腕と顔を出した。これで、車内を汚すことなく、キレイに食べられると考えた。浅はかだった。車が走り出すと勢いよく風が襲ってくる。いつもの倍以上の速さでソフトクリームは溶けていく。コーンをつたい、手を濡らし、腕のほうまでクリームに覆われる。それを阻止しようと必死にくらいつくから、口の周りだけでなく、頬や鼻に顎……終いには額までもクリームを塗りつけることになった。どうしようもなくなってから、車内に振り向き「ばあば……」と助けを求める。白いドーランでも塗ったかのような孫を、切なげな表情で見つめて「こりゃダメだ。家まで我慢しなさい」と匙を投げた。
今号も最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回は、紫苑の花が揺れる頃にお会いいたしましょう。