back number, No.54
2022-05-20
百花騒鳴
53、ちぐはぐ
数年ぶりに「規制のないゴールデンウイーク」。世の中のムードとは裏腹に、変わらぬ日常の中で仕事を続けた私。それでも、隙間を縫って「ゴールデンウイークらしい過ごし方をしたい」と思いたち、近所の山へハイキングに出かけることとした。それに友人の1人が付き合ってくれた。低山といえども、山道を行く。昔、登山で使用していたアイテムを引っ張りだし準備を整えた。当日は良く晴れた、アウトドア日和となった。ウキウキとした気分で友人と合流。すると、互いの服装を見て同じ言葉を発した。
「どこへ行くの?」
しっかりと登山の格好を整えた私。一方、友人は、デニムにオシャレスニーカー、小さめのバックパックといったいで立ち。「バーベキューにでも行くんですか?」と突っ込んだ。友人からすると私の方が過重装備だという。近所の散策路を歩くのに、ストックまで持ち出すのかと笑う。「いや。いや。今から行く道は、立派な山道だから。山をなめんじゃないよ!」と制した。ちぐはぐな格好の二人連れは、目的地へとやってきた。「はい。ここがスタート地点です」と宣言すると、周囲を見渡し、進む先を見つめた友人が「ホントだー。山道だ~」と言うも臆する様子がない。すいすいと山の中を進んでいく。「気を付けてね。分かれ道っがあると危険だから、慎重に進路確認してね」と後ろから大声で呼ぶ私に、地元の山なんだから大丈夫だと意に介していない。こりゃ、大変なパートナーを連れてきちまったぞと、汗よりも先に、背中にひんやりとした空気を感じながら、頂上をめざすこととなった。
今号も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
百花壇は次号で10年目を迎えます。これまで、支えてくださった読者の皆さま、掲載店さま、設置店さまに深く感謝申し上げます。
これから先も、皆さまに喜んでいただける情報の収集を続けていきたいと思っています。
それでは、蝉しぐれの聞こえるころにお会いいたしましょう。