back number, No.33

2018-11-11
美しさにため息の漏れる、完璧なシルエット

松永工房01

松永工房

今回の表紙に登場した松永工房のショールーム。倉庫を改装した広々とした空間に、高級家具の数々が展示されている。全国に根強いファンを持ち、遠方から足を運ぶ人も多いという。その人たちのお目当ての一つは、ロングセラーのクラシカルな猫脚家具。西洋の童話に登場しそうな情緒的なフォルムは、女性たちの憧れをカタチにしたもの。デッサンを何度も繰り返し思索したデザイナーの空想力と、手彫りの彫刻や、華奢なラインを生かしながら強度を保つという、職人の卓越した技術が、理想的な美しい家具に仕上げている。また一方で、シャープなラインが際立つモダンシリーズも、ファンからの熱い支持を受ける。「作り手がかっこいいと感じる物を作ろう」という思いから生まれ、スポーツカーやアニメのメカニックデザインがモチーフになっている。オリジナルの金具を開発し、シルエットの角度にとことんこだわり、ディテールを計算し尽くすことで、これまでの家具には無かった立体感を出すことに成功した。家具を照らす光の角度により、浮かび上がる陰影が、未来的でとても美しい。

松永工房の家具は、どれを取っても「美しい」という形容詞がよく似合う。静岡の静かな郊外で、こんなにも美意識の高い家具が生み出されていたなんて…初めて目にする人は、きっとそんなふうに驚き感動することだろう。

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