back number, No.48

2021-05-17
百花騒鳴

hyakkameisou

 

47. 激痛

 

ある朝目覚めると、身体の自由が効かなくなっていた。左下半身が激痛で動かせない。立ち上がることはおろか、上半身を起こすことすらできない。原因は、分かっていた。前日、同部位の鈍痛のために、友人が勤める近所の整形外科を受診した。そこで「おそらくヘルニア」と言われていた。しかし、この状況は予想していなかった。まさか、身体を起こせなくなるとは。とりあえず、横泳ぎのように這いずり、寝室を出た。しかし何もできない。「これ、どうするよ。救急車?こんなに意識がハッキリしているのに、救急車のお世話になるの?」自問を繰り返すが、答えが出ず、前日世話になった友人に電話した。「それは、もう救急車だ!」そう言って、勤務先の病院から大人用のオムツと医療機関への紹介状を持って駆けつけてくれた。粗相があってもいいようにと、友人にオムツをされた。齢45で、大人のオムツデビューと相成った。その後、タンカで救急車へと運びこまれた。付き添ってくれた友人がテキパキと対応してくれるが、親族への連絡が必要とのことだった。実家へ電話を掛けた。すると、電話の向こうの様子がおかしい。なんと、食あたりで家族みんなが寝込んでいた。「こんなことってある~?」と笑いが込み上げてくる。不調の者同士、互いの健闘を祈りつつ終話。私は、サイレンの鳴る車両に揺られて、病院へ運ばれていった。

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。多くの方のご協力で無事発行することができました。次回も、皆さまに喜んで頂ける情報を集めて参ります。

では、雨の匂いの残る半夏生にお会い致しましょう。

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