No.33, 最新号

2018-11-11
百花騒鳴

百花騒鳴

35 注連飾り 

いつまでも猛暑が続いたせいで、うっかりしていたが今年も残り2ヵ月を切った。どこからともなく年の瀬の空気が満ちてくる。この時期になると思い出すのが、祖父の注連飾り作りである。土間にゴザを敷き、達磨ストーブの側で、夜な夜な注連縄を編んでいた。そのお飾りは、玄関はもとより、台所、トイレ、車庫、自動車など、ありとあらゆる物に括り付けられる。そして、田舎の習わしとし1月6日の夜に外される。

一族の末席である、私の持ち物も例外を許されない。通学用の自転車も、その対象だ。センシティブなお年頃となった中学生は、お飾りを付けられた自転車を濃いで、学校へ向かうことに抵抗があった。私の他に誰ひとり、そんなものを付けている生徒はいないからである。しかしながら自分勝手に外し、何か障りがあってはいけないとの思いもあり…、学校中の視線を集めるのは承知で、注連飾りを風になびかせ、堂々と走る以外は無かった。

ただ、その年度の夏休みの自由研究で、私は何故か仏教関連のレポートを、巻物風に拵えて提出していた。それは先生方に好評で、校内展示がされた。年が明けても、周囲の記憶に残っていた。そこへきて、注連飾り自転車の登校である。同級生たちは、思ったという、「アイツ、やべ~奴」と。

 

今年の最終号となる本誌の最後までお読みいただき、ありがとうございました。

皆様のおかげで、一年間、無事に制作を行うことができました。

次回の新年号は、新たな気持ちでスタート致します。

めでたき年明けにお会い致しましょう。

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