No.34, 最新号

2019-01-01
仕込みの丁寧さが、一皿に現れる

そっせ05

小料理そっせ

再開発が進む街、人宿町に粋な空気を漂わす一軒が、今年完成した商業「人宿町離宮」の一角にある。黒いアイアンと組子細工がモダンに融合する店内には、10名が着席できるカウンターのみ。オープンキッチンでは、店主の望月勇佑さんが腕を振るう。10年以上、日本料理店で研鑚。自分の店を持つ前に素材の勉強をしたいと、料理店が多く利用する評判の鮮魚店で修行したという。そこで学んだことの一つは、熟成。丁寧な下処理をし、旨味や脂の甘みが身全体に行きわたるように、寝かせる。適正な温度管理の元、数日するとふくよかで濃厚な旨みが生まれる。今回登場した氷見の寒ブリも、熟成させたもの。それを藁で瞬間的に燻製、さらに備長炭で焼き上げる。重なり合う芳香が、凝縮したブリの味を一層引き立てる。さりげなく添えられた伊達焼にも、手間を惜しまない様子が伺える。白魚のすり身と和三盆を加えた玉子焼きは、1時間ほど掛けてじっくりと綺麗な焼き色を付ける。この一皿に、どれだけの労力が掛かっていることか。それでいて、料金の控えめな所がにくい。先附から始まり、食事、デザートまでおおよそ8品が登場する、おまかせコースは5400円から。

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