No.37, 最新号

2019-07-10
「粗挽十割」の固定概念が覆る

庵01

石臼挽き手打ち蕎麦 庵 ひをり

この蕎麦を食して、あなたはどのように感じるだろうか。蕎麦に魅了された店主、五島貴幸さんが、美味しい蕎麦を打ちたいという信念から始めた「庵」の蕎麦は、個性の塊だ。「味の8割は素材で決まる」と有機JAS認定を受けた玄蕎麦「会津のかおり」の中でも生産者を限定。惚れ込んだ玄蕎麦を、独自の理論に則し石臼で挽く。水の量も、打ち方も、切った後の熟成も、試行錯誤から導き出した。大切にしている事は、固定概念にとらわれず、食して美味しければいいという事。
一日4食限定の極粗挽十割は、まずは一口、添えられた沖縄の塩をつけて啜って欲しい。少し太めの無骨な見た目に反し、ツルりと口の中に滑っていく。舌触りはなめらかだ。噛むと一気に強い風味が鼻を抜ける。大胆で繊細。蕎麦の持つ本来の旨みを、余すことなく享受できる。五島さん自身も好みだと語る粗挽十割は、極粗挽よりも少し丸みがある。熟成された蕎麦の風味を素直に楽しめる。ここに、富士宮で採れたセリをサッと湯にくぐらせのせる芹蕎麦も外せない。セリを蕎麦と絡めて、甘めの汁に付けて啜る。ほろ苦いセリと力強い蕎麦の風味が一体型する。静岡ではなかなかお目にかかれない、独創的な蕎麦を一度試してもらいたい。

Posted in No.37, 最新号 | Comments Closed