No.43

2020-07-24
渓谷にひっそりと建つ隠れ宿「谷川の湯 あせび野」

あせび野

谷川の湯 あせび野

伊豆半島を縦断する国道414線から、細い道を走り辿り着く秘湯の宿。清流、猫越川が流れる渓谷に建ち、山間のひんやりと澄んだ空気が出迎える。ロビーの開放的な窓の向こうには、絵画のような四季の風景が広がる。全18室の客室は、棟ごとに設えを変えるが、全てに温泉を引いた専用露天風呂を完備する。大野天風呂「世古の湯」は、猫越川に沿って長く伸びる。川石を配した自然に溶け込むような浴場は、圧倒的な解放感を満喫できる。また、すぐそばに、せせらぎを感じられる臨場感たっぷりの寝湯や、木々の風情を楽しむ山の湯など、4種の貸し切り風呂も楽しめる。個室ダイニングで味わう料理は、和を基軸に様々なジャンルの要素を組み合わせた独創的な会席。伊豆の馴染みある食材を使いながら、新感覚の洗練された味へと変身させる。

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2020-07-24
店でも自宅でも、職人の粋な味に酔う

茶ばしら

茶ばしら

毎夜舌の肥えた大人たちが通う「茶ばしら」。日本料理店を渡り研鑽した店主の橋本伸治さんが、自身の目で選んだ食材を、手間をかけながらもシンプルに調理する。魚介は、天然にこだわる。春から初夏にかけては、キンメやイサキ、太刀魚、アマダイなどを熟成させ、ねっとりとした甘みと旨みを凝縮させる。野菜は、産地、生産者にこだわる。高い香りと、歯ごたえの良い梅ヶ島の原木しいたけ、極小の若芽だけを選び抜いた秋田のジュンサイ、長野の極太アスパラなど、厳選した全国の旬の食材を使い、素材本来の旨みが味わえる料理に仕上げる。橋本さんの心が行き届いた素朴な一皿は、繊細な日本酒や焼酎と相性がいい。時間を忘れて、つい盃を重ねてしまうが、夜が更けても締めの一品は忘れずに。それは、オープン以来人気の和風オムライス。卵とご飯、たっぷりの薬味野菜を合わせて、ふんわりと焼き上げる。そこに季節の野菜を加えたあんを注いでいく。仕上げに、香りのいい花ガツオをまぶす。ほろ酔いの体に、心地よい和の味が染みていく。このオムライスをはじめ、天丼やオードブル盛り合わせ(2人前3,000円~)などは、テイクアウトも可能。電話で注文すれば、1品からでも対応してくれる。

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2020-07-24
上質なケアで、健康をキープ

クオーレ

ペットサロンクオーレ

静岡市の本通り沿いにオープンしたペットサロン「クオーレ」。関東の老舗有名サロンや静岡のサロンで、技術を磨いたオーナーが夫妻で経営する、清潔感のあるアットホームなサロン。一匹ずつ丁寧に時間を掛けて仕上げてくれる。基本の「シャンプーフルコース」は、シャンプー、リンス、爪切り、やすりがけ、耳掃除、耳毛抜き、足周りカット、足裏、お尻周りバリカン、肛門腺絞りといったキメ細やかなサービスで、小型犬3,000円~(犬種ごとの料金はHPを参照)。シャワーは、マイクロバブルシャワー(無料)を使用しているので、脂や汚れを浮き上がらせ高い洗浄力を発揮するのだとか。長毛犬種で、背中や顔、全体にカットが必要な場合は、ジャンプ―フルコースにカットを加えた「トリミングコース」小型犬5,000円~がおすすめ。部分カットだけなら、シャンプーフルコースにプラス500円~1500円、猫のシャンプーコースは、短毛5,500円、長毛7,000円。さらに、オーガニックシャンプー、アロママッサージ、シルクの泡パックといったケアオプションも充実。家庭でのシャンプーが難しい、大型犬やシニア犬にも対応している。

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2020-07-24
百花騒鳴

百花騒鳴

42.西瓜

スイカの美味しい季節がやってきた。喉を潤し、火照った体を冷やしてくれる、夏の風景にぴったりの食べ物だ。だが、私にとっては複雑な思い出を想起させる。幼い頃、腎臓を患い、入院したことがある。手術もできない、コレという治療薬がないという病。家族とっては一大事である。何とか私を助けたい祖父母、両親は、あらゆる民間療法を試すことにした。煮込んだスイカの汁には利尿作用があると聞いた祖母は、冬にもかかわらず、どこからか大量のスイカを手に入れ、スカイ糖をこしらえた。またハゼの煮汁が腎臓を健やかにすると聞き、遠方から焼き干しのハゼを取り寄せ、ハゼ汁をこしらえた。両者とも形容しがたい茶色の飲み物に仕上がる。一方は青臭さの残る甘いシロップ、一方は強烈な磯の香りが鼻に抜ける煮汁。そして、祖父は、むくみに効くという妙な湿布剤を手に入れてきた。おそらく主原料は、刻んだキュウリ。それを、へそ周辺と足の裏に塗り、ラップで覆うのだ。この3種の怪しげなオリジナル処方箋は、入院中の私に毎日届けられた。子どもながらに、これらを口にすることに、病院関係者へ後ろめたさを感じていた。だから、飲むときはこっそりと病室のカーテンを閉めていた。ある時そこに、担当医がやってきた。「おはよう。診察するよ~」と、勢いよくカーテンを開けた。医師の目には、ベッドに座り、得体の知れない液体を、苦しそうな表情で飲む少女が映った事だろう。「何をしているの?!」と驚愕する担当医。見られた事に困惑し、ハゼ汁を一気飲みしたことで、むせる私。そばにいた看護師も巻き込み、病室は大混乱。事情を説明し、腹の湿布も見せることになった。すると毎日貼り続けていた腹は、かぶれを起こしていた。「科学的根拠のない民間療法はダメだよ~」とお叱りを受けた。ただ、不思議なことに、寛解することが少ないといわれる病気だが、私はそれ以来、再発をしたことがない。毎年、スイカを口にするたび、あの日々と家族の愛を思い出す。

 

今号も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

お身体健やかに、暑い季節を過ごされますようにお祈り申し上げます。

次回は、鈴虫の声が聞こえる初秋にお会い致しましょう。

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