back number, No.34

2019-01-01
百花騒鳴

百花騒鳴

36 始まり

年が明けた。新しい時代がやってくる。激動の世の中も、健やかに生き抜くため…いや、そんな大層な志なんて、これっぽちもなく…デニムをスリムに履きたいという、陳腐な願いのために、この冬始めたことがある。夜な夜な、某所を巡るサイクリングだ。
スポーツバイクにまたがり、トレーニングウェアで疾走するといったカッコいいものではない。近所に住む幼なじみとともに、夜が更けると普段着のまま、ママチャリを漕ぎ出す。防寒のために被る幼なじみのニット帽は、モスグリーンでひさしが付いている。「北の国から」の五郎さんみたいだ。並走する私は、膨れた黒いダウンジャケットに、モコモコズボン。たっぷりと肥えたヒグマのようだ。そんな、「北の国」ファッションをまとったオバチャンたちが、同じ所を何度も周回する。運動神経も近ごろ退化傾向にあるため、走る姿にキレがない。怪しさこの上ない。
今回のプライベートジムの取材で、スタイル抜群のインストラクターを見て感じたことだが、もしかすると元々の骨格や肉付きにより、努力では贖えないモノがあるのではなかろうか。そんな悲しい現実に気づきつつも、オバチャンたちは、自らのスタイルアップを信じて、今日もペダルを漕ぎ続けている。通りすがり目に入る、焼き芋のセルフ販売の誘惑と戦いながら。

明けましておめでとうございます。
年明け最初の一冊をお手にとり、最後までお読みいただきありがとうございました。
本年も編集部一同、素敵な情報を皆様にお届けして参ります。
ご愛読のほど、どうぞ宜しくお願い致します。
それでは次回、桜花の咲き誇る春にお会いしましょう。

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