back number, No.41

2020-03-29
確かな技が光る、春の一皿

祟月

日本料理 崇月

夜の帳が下りる、静かな小路。「祟月」と記された提灯に優しげな明かりが灯る。しっとりした大人の夜を、期待させる。戸を引くと、坪庭と落ち着いた装飾の空間が待つ。案内される席は、全て個室。他を気にせずに、ゆっくりと食事や会話に夢中になれる。運ばれる料理は、旬を感じる伝統的な日本料理でありながら、どこか新しい風の香りがする。そんな挑戦的な仕事をするのは、親方の荒谷祟さん。確かな技と、客を楽しませたいという気配りで、毎夜舌の肥えた顧客たちを満足させる。とても気さくな人柄もあり、常連に慕われ、長く通う人も多い。その和やかな雰囲気が店全体を包んでいるため、店構えに気負うことなく、リラックスして料理を楽しめる。夜は、素材を吟味し工夫を凝らしたコースが6,600円から。旬菜、椀物、お造りなどデザートまで付く。昼は3,300円の三段重を用意。重箱の中には、絵巻のように繊細で色彩鮮やかな崇月の世界観が詰め込まれている。一重ごと季節の素材を先取りした、手間をかけた料理が楽しめる。宝箱を開けるような高揚感を味わうとともに、一品ごとに異なる風味に感動を覚えるはず。家族や友人といった、気の置けない仲間との集まりに、春の祝い事などに利用してみては。

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