back number, No.45

2020-11-08
百花騒鳴

百花騒鳴

44.歳の瀬

 

今回13ページに登場してくれたペットサロン「クオーレ」。モフモフした毛が可愛らしいワンコが2頭、モデルを務めてくれた。写真では彼らの大きさは伝わりにくいが、30㎏ほどある大型犬である。サロンオーナーの橋本さんは、彼らを見事にコントロールして、手際よくケアを進める。その様子を見ていると、「うちの駄犬のシャンプーもぜひお願いしたい」と思ってしまう。というのも、うちの犬は80㎏以上ある。シャンプーはかなりの重労働だ。狭い浴室に、大きな犬と、ふくよかな裸のオバサンが入る。それだけで、室内の温度は5度くらい上昇するのではなかろうか。狭い場所で巨体たちが1時間ほど、格闘する。まるでプロレス。1試合終えて、浴室を出ても仕事は終わらない。ドライ作業だ。犬の方は、心地いい湯を浴びて上機嫌のうえに、大好きな「なでなで」をされながら、これまた気持ちのいい温風を浴びる。極楽のお大尽状態。一方、オバサンは、汗を拭う間もなく、衣類をまとう間もなく、作業に取り掛かる。犬の毛が、風に舞うから、湿った顔や首にまとわりつく。もぞもぞという不快感を味わいながら、1時間ほど犬への奉公を続ける。犬がご機嫌でキレイになった頃、オバサンは5才くらい歳をとる。この労が報われたと思うのは、白毛が陽に照らされ輝き、洗い立ての香りがフワっと上る時。しか~し、翌日に雨なんか降ろうものなら、「犬は喜び庭駆けまわり」状態で、真っ黒くなり、水を滴らせながら威風堂々と庭を闊歩する。飼い主の心、犬知らず。さて、歳の瀬も迫ってきた。そろそろ1試合始めるとするか。

 

今号も最後までお読みいただき、ありがとうございます。この一冊で2020年を締めくくります。来年は、皆様にとって明るく健やかな一年になりようお祈り申し上げます。

一年間ご愛読誠にありがとうございました。新年号で、お会い致しましょう。

 

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