back number, No.25

2017-07-09
百花騒鳴

百花騒鳴

24 、火の玉

ご先祖の魂が里帰りするこの季節になると、思い出す話がある。もう十数年前だろうか。8月のお盆を、祖父母の家で過ごしていた。家のすぐそばには、大きな川が流れ、小気味いい風の通る土手がある。すっかり辺りも暗くなった8時ごろ、土手に腰を下ろし、家族、親類と、隣の町内から上がる花火を眺めていた。田舎の花火ゆえ、打ち上げる花火の間隔が長い。一つ上がっては暫くたち、忘れたころにボーンと次の花が咲く。あーじゃこーじゃと他愛もない話をしながら、のんびりと花火を待っていた。

その時、叔父が「何だ、ありゃ?」と言い、花火会場とは反対の方向を指した。そこには、山肌に沿って建つ墓地がある。土手からは、直線で150mくらい離れている。山の中のため、民家もないから普段は真っ暗だ。なんと! そこに、大きく真ん丸のオレンジの光が点灯しているではないか。一同の目は、得体の知れない光に釘付けである。あまりにもはっきりとした明かりのため、「誰かがバーベキューでもやっている、発電機の明かりだろうか?」「火でも燃やしているのだろうか?」と皆で理由を考えてみたが…その光のある場所は、墓よりも上部で木々が茂る急傾斜。開けた場所もなく、道路も通っていない。そんな場所で夜更けに、バーベキューなどするだろうか? 150m離れた場所からでも、大きいと感じる光の玉は、どうみても不自然だ。すっきりする答えを思い浮かべられないまま時間がたち、いつしか光も消えていた。翌朝、気になった叔父たちは、山へ入り光源だと思われる場所を目指した。けれど、バーベキューやたき火をしていた形跡はなかったという。

今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

皆様の夏休みが有意義でありますよう、この一冊がお役に立てれば幸いです。

次号は、「アクティブ」をテーマに、楽しい情報をお伝えして参ります。お楽しみに!

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